東京ワインコンプレックス(Tokyo Wine Complex)

最新グラスワイン事情
コストパフォーマンスのよさだけでは
のびしろに欠ける?!
「これから求められるグラスワイン」とは?


高岡信明 高岡信明
ワインコンプレックス代表
藤森真氏 藤森真氏
株式会社シャルパンテ
代表取締役
田辺公一氏 田辺公一氏
ワインディレクター

最新アイテムでグラスワイン
提供の敷居を下げる

高岡グラスワインというと、飲食店の方々は、酸化のリスクを心配されることが多いですよね。

藤森ボトルの温度をきちんと管理して、瓶内の空気を抽出する真空ポンプ器具……いわゆるバキュバンを使えば、かなりリスクは回避できますよ。

高岡これはプロの話とはちょっとずれますが、バキュバンは、一般家庭で用いるには、ちょっと敷居が高くありませんか?面倒臭いという感じがして…

田辺無味、無臭、無害の不活性ガスをシューっと入れて酸化を防ぐ「プラベートプリザーブ」などは、とても手軽ですよ。

藤森シャトー・ムートンロートシルトやオーパスワンといった、世界の名だたるワイナリーでも使用しているそうですから、品質的にも安心ですよ。

高岡 「ファンヴィーノ ワイン・酒サーバー」など、プロ仕様のグラス提供向きワインサー バーもありますが、実際、使い勝手はどうなのでしょう?

田辺注ぐたびに、ボトル内の空隙に無味・無臭・無害の窒素ガスが充填され、ワインの酸化を防ぐという仕組みで、およそ2週間は劣化しないとのことですから、高価なワインをグラスで提供するにも便利なアイテムですね。

高岡スパンの余裕がそのくらいあれば、グラス提供の無駄が出てしまうリスクはかなり回避できますね。値段の張るワインをグラスで提供するサービスもしやすくなる。

田辺知名度は低いけれど、是非飲んで欲しい!というおすすめワインも、提供しやすくなりますよね。

藤森温度設定やサーブ量を設定できるのも便利ですね。グラスワインを提供する際には、不公平が起きないように、同量でサービスしなければなりません。自動で同量配分できる安心感は、お店としては思いのほか大きいですよ。

高岡なるほど、ワインの品質管理だけではなく、経験の少ないスタッフでも、間違いのないサービスができるというわけですね。

酸化を変化に、変化を話題に
ポジティブシンキングでワインを楽しむ

高岡飲食関係の方からは、 「売れ残った際に、翌日、翌々日にも使えるようになるべく変化しないワインを、グラスワインに使いたい」などという声もしばしば聞かれますね。

藤森しかし、理論的にも「変化しないワイン」というのはありませんよね。

田辺それに、あんまり変化しないワインというのは、ちょっと不自然(笑) 。あまり神経質にならない方が、ナチュラルにワインを楽しめると思いますが…

藤森僕は、そこの発想を真逆に転換して、ネガティヴとされる「変化」を、むしろポジティヴにとらえてしまう。ボトルを開けてから変わってゆくワインの表情を、積極的に、お客さんを巻き込んで楽しんでしまう。

高岡劇場型ですね。

藤森 「これ、昨日開けたのですが、こんな風に変化してきましてね…」なんてね。それが、 「さらに明日になると、こんな感じになりますよ」 「じゃあ、明日も来てみよう」などという具合に、コミュニケーションに繋がるわけです。

高岡それは楽しいですね。また翌日も来たくなる(笑)

藤森会話のきっかけになるんですよね。スノッブなウンチクではなく、ワインを美味しく飲むための生の情報交換。

高岡しかしそれは、藤森さんならではのテクニックでは?

藤森僕のそういう姿を見ているせいか、スタッフもそうやってお客さんと自然にコミュニケーションしていますよ。ワインのみならずお酒とういものには、スピークイージーなところがありますから、その属性を巧く使うと、良好な人間関係を築くアイテムになるんです。

提供するスタイルにも
遊びがあっていい

高岡居酒屋さんなどでは、 「高価なワイングラスをたくさん揃えられない」という意見もありますが…

藤森ボトルで提供するなら、そのワインのスタイルや品種に合わせたグラスを―ということもありますが、グラス提供の場合は、多少遊び心をはたらかせてもいいと思います。僕のところで「こぼれシャンパン」をはじめた時は、喜んでいただくお客様が多い一方で、「シャンパンをグラスになみなみ注ぐなんて」という賛否両論がありました。しかし、結局は「ゴージャスで楽しい!」というご意見が勝った。これは、グラスワインという提供の仕方だからこそ、だと思いますね。

田辺海外でも、フランスやスペインの地方都市のビストロでは、脚の無いタンブラーでハウスワインが出てくるケースが多いですよね。お店のスタイルによって、そこはいろいろなケースがあっていいと思います。

高岡山梨では、ご家庭の晩酌で一升瓶のワインを湯呑茶碗で飲んでますね。あれ、妙に美味しいんですよね(笑)

田辺ドイツではランチの時に、大きなグラスに白ワインを入れ、それを天然発泡水で割って飲んだりします。割ったり、氷を入れたり、カクテルにしたりと、自由な発想で、グラスで提供されるワインならではのバリエーションを楽しんでみるのも面白いですね。

高岡ワイン=ワイングラスという概念をいちど取り払ってみると、さまざまな可能性がでてくるかもしれませんね。

コンセプトを見据えて
「本当の楽しさ」を提供する

田辺たとえばレストランさんなどがグラスワインをチョイスする際、有名産地だからというだけの理由でブルゴーニュとボルドーを揃え、 「グラス一杯で提供するのだから、価格はこれこれで…」というような安易な選び方をしがち。これではお客様の心を掴むことはできません。 「うちの店で、何故そのグラスワインを提供するのか?」という理由づけが大切なのです。 「自分の店のスタイルはこれこれ」 「料理のこういうところを味わっていただきたい」と、まず自分のお店のコンセプトをしっかりと見据えれば、 おのずと「これを飲んで欲しい」というワインが見えてくるもの。

高岡なるほど、あくまでもお店のコンセプトが大切なんですね。

田辺そうなんです。有名では無い産地の、あまり知られていない品種のワインであっても、 「なぜ、うちで提供するのか」という理由づけがきちんとできていれば、グラスワインに大きな意義が出てくる。お客様にとっても、そのグラスワインを体験することが、新しい知識の発見につがなるわけで、そのお店に通う理由づけにもなるわけです。

藤森美味しいワインと料理を提供するのは当然として、 「このお店に来ると楽しい」とか「ここに来ると、いつも新しい知識が得られる」というプラスαが提供できたら最高ですよね。ワインには美味しさの他にも、プラスαの可能性が大きく秘められているように思います。

コストパフォーマンスのその先にある「価値」

高岡グラスワインというと、ボトルの価格が1000円台だとか、1000円切っているとか、それで何杯どりして、いくらで売るからこれだけ儲かる…などと、値段のことにばかり終始してしまう傾向もありますね。

藤森まあグラスで提供するからには、コストパフォーマンスに優れていることは必要条件といえるでしょうが、そこにばかり固執してしまうと、伸びしろがないですよね。

田辺僕はしばしばグラスワインの価格を均一化させてしまうことをレストランさんなどに勧めていますよ。

高岡500円均一とか、1000円均一みたいにですか?

田辺そうです。お客さんによっては、安いという理由で 500円のワインばかり飲んだり、「グラス一杯1500円は高いから、1200円の方にしておこう」などと、値段を基準に選んだりする方がおられるでしょう?お店としては、そういう基準でなく、味に特化して、料理との組み合わせでワインを選んでいただきたいですよね。たとえばグラス一杯1000円なら1000円と決めてしまえば、基準がワインの味になる。これこそ、そのお店を楽しんでいただくためのサービスだと思います。

高岡なるほど!

藤森そのワインを提供する意義があれば、値段ありきじゃなくなる。それが、「そのワインをグラスで出すことの価値」に繋がるのです。

高岡お客さんにとってグラスワインを選ぶことは挑戦ですが、お店にとっても、グラスワインが挑戦であって欲しいと思う。 「この産地の、こんな価格のワインを、グラスで提供する」というチャレンジです。

田辺そうですね。シビアなものを秘めながらも、実はそこが一番面白いところかもしれません。

高岡東京ワインコンプレックスの試飲会には、さまざまな国、産地、品種のワインが集まります。また、今回の春の試飲会では、参加インポーターさん各社からエントリーされた「グラスワインコンペティション」が開催されますので、是非とも「これは!」というワインにめぐりあっていただきたいと心から願っています。

※本記事は、2017年2月8日に八芳園で開催された「ワインコンプレックスTOKYO」会場パンフレットより転載いたしました。

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