2019年、ワインコンプレックスは新たな挑戦に取り組みます。

2017年よりすでに2 回にわたって開催している「オイスターワインコンテスト」に続き新たに「ラム」とのマリアージュを主題としたワインコンペティション「ラムワインコンテスト2019」を開催します。

ワインコンプレックスがどうしてコンペティションにこだわるのか?

その思いを、代表高岡信明が語ります。

ワインコンプレックス代表 高岡信明
ワインコンプレックス代表 高岡信明

インポーターさんの多くは、少ない人手をやり繰りしながら、ワインを広めていこうと懸命な活動をされています。ワインコンプレックスは、今まで展示会の開催というやり方で、そのお手伝いをさせていただいてきました。

おかげさまで、本年2019年、ワインコンプレックスは全国9都市において10回の試飲展示会を開催予定です。そして、中国エリアにおける初の開催となった2月の広島をもちまして、ワインコンプレックスの試飲展示会は、おおむね日本の主要都市を網羅することができました。

この、ひとつの到達点において、さらなる10年後を見据えた時、実は、私は大きな危機感を抱いています。それは、

「10年先に、今より大きなワイン市場が日本に存在しているだろうか?」というものです。

東京や大阪、名古屋といった大都市では、ワインの需要はますます高まってきているように感じられます。東京オリンピック、パラリンピックも目の前に迫り、インバウンド需要もさらに高まることでしょう。

しかし、2020年のさらに先を見ると、あるいは大都市から地方へと視線を移すと、状況は異なります。

地方では、その中核的な主要都市でさえ、人口は少なくなり、若者は減り、市場そのものが萎んできている。いわんやワインの需要も、そうした趨勢にしたがって縮んできてしまっている、というのが現状でしょう。

私にはこれが、10年後の東京を見ているように思えてなりません。

こうした流れの中で「、ワインコンプレックスに何ができるか?」と考えた時に、ささやかな、ひとつの答えとして出てきたのが、オイスターワインコンテストでした。

世界のワインコンペティションの多くは、審査員の権威を裏付けとして、ワインに優劣をつけています。もちろんそれには、大きな意味があるでしょう。

しかし、飲酒の機会そのものが減りつつある情勢の中で、いかにワインの需要を伸ばしていくかを考えると、「食」のシーンにワインを溶け込ませることがより有効ではないでしょうか?

嗜好品であるお酒は飲まれなくなったとしても、人が食事をしなくなる、ということは、現在のところ、ありえません。

そこで選んだ食材が、オイスターであり、ラムだったというわけです。

ことにラムは、2020年に向けてインバウンド需要が高まる宗教的なタブーを持たないほとんど唯一の食肉というばかりでなく、日本人において、牛、豚、鶏に続く第四の肉となるのではないかといわれるほど、今後の可能性を大いに秘めた肉。高級なフレンチやイタリアンではすでにお馴染みですが、今後、ラム肉はどしどし、居酒屋や気軽な飲食店、家庭の食卓に入り込んでいくに違いありません。この新たな波であるラム肉のシーンにワインを溶け込ませることは、まさにワインの新たな市場を開拓することとなるでしょう。ささやかかもしれませんが。

10年後にもワインの仕事を続けているために今、何をするべきか?

そもそも、オイスターワインにせよ、ラムワインにせよ、自社のワインを知り尽くしたインポーターさんが、必死に、厳選したもの。

つまり、エントリーの時点で、もうオイスターワインとしての資格を充分に備えたワインなのです。その中から、さらに選ばれたものであるということが、ワインコンプレックスのコンテストの「権威」なのです。審査員は、ワインの優劣ではなく、キャラクター分けをして、どのシーンにより溶け込ませやすいかを判断しているにすぎません。

ワインの市場を開拓しようなどという取り組みは、インポーターさんや、酒屋さんや、地方地方でワインに関わっている多くの皆さんと一緒になっていただけないと、実現するものではありません。

たとえば、コンペティションで賞をとったからといって、それで安泰というわけではありません。ポップを作ってワインショップや飲食店に置いてもらうなど、コンテストを最大限活用しているインポーターさんが、やはりしたたかに存在感を増していきます。そこは、それぞれの腕次第なのです。

ワインのあるシーンを創造し、ワインを飲む機会を作る。それが、市場を作ることになる。その市場に、どんな小さなネタも逃さずに活用し、アプローチしていく。こうしたことを積み重ねて、はじめて、10年後が変わってくるのではないか。そんな10年後を、皆でつくりあげていきたいというのが、ワインコンプレックスの願いです。

※本記事は、2019年4月18日にソラリア西鉄ホテルで開催された「ワインコンプレックス FUKUOKA 2019」会場パンフレットより転載いたしました。
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